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ファミリーオフィス未来通信|老後の不安は「お金が足りるか」ではなく「見えていないこと」

老後の不安は「お金が足りるか」ではなく「見えていないこと」

 

老後について考えるとき、多くの人が、まずこう思います。
「お金は足りるだろうか」
「老後資金はいくら必要なのだろうか」

■資産が増えても、不安が必ずしも減らない理由

 

現実には、老後に向けて相応の資産を築いている人でも、不安が完全に消えるわけではありません。

・資産額は把握している
・年金の見通しも立っている
・大きな借金もない

それでも、どこか落ち着かない気持ちになることは、決して珍しいことではありません。

ここで気づいていただきたいのは、お金の準備と、不安の原因は必ずしも一致しないという点です。

老後不安の多くは、

・金額そのものではなく
・これから先、何が起きるのか分からない
・どこまで考えれば十分なのか分からない

という「分からなさ」から生まれます。

人は、不確実な未来そのものよりも、見通しの立たない状態に強い不安を感じます。

そのため、資産が増えても、不安が自然に消えていくとは限らないのです。

 

■「足りるかどうか」は二次的な問い

 

老後の不安を「お金が足りるかどうか」という問いだけで考えると、かえって不安が深まることがあります。

なぜなら、いくらあれば安心できるかは、金額そのものよりも、生活のイメージや周囲との比較によって決まることが多いからです。

将来に何が起きるか分からない以上、「ここまであれば十分」と明確に線を引くことは簡単ではありません。

そのため、数字だけを追いかけ続けても、気持ちが落ち着かないまま残ることがあります。

■不安は「準備不足」ではなく「整理不足」から生まれる

 

老後不安を感じている人の多くは、決して老後の準備をしていないわけではありません。

むしろ、

・これまで真面目に働き
・きちんと貯え
・将来を考えてきた

人ほど、不安を抱えやすいのかもしれません。

それは、準備が足りないからではなく、考え方の整理が追いついていないという状態ではないでしょうか。

■老後の安心に必要なのは「正解」ではない

 

老後について、誰にとっても当てはまる正解はありません。

しかし、

・何が分からなくて不安なのか
・どの部分が整理できていないのか

こうした点が自分なりに整理されてくると、不安は少しずつ落ち着いてきます。

安心とは、「何も起きないこと」ではなく、分からない状態が、少し整理されていることだからです。

■今月のヒント

 

――老後不安を分解してみる

次の問いについて、静かに考えてみてください。

・老後について、何が一番引っかかっていますか
・それはお金ですか、それとも分からなさですか

答えが出なくても構いません。
問いを立てること自体が、整理の第一歩です。

■大切なこと

 

老後の不安は、お金の問題だけで説明できるものではありません。

多くの場合、先が見えないことや、考えが整理しきれていないことから生まれます。

このシリーズでは、何が見えていないのかを一つずつ確かめていきます。

それによって、老後の見え方が、少しずつ変わっていくはずです。

■次回予告

 

次回は、老後を「収支」ではなく「全体像」で捉える考え方を取り上げます。

老後を毎月の生活費から切り離すことで、見える景色が大きく変わります。

 


【執筆者紹介】

代田 秀雄(しろた ひでお)

辻・本郷 ファミリーオフィス株式会社 特別顧問
シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズ代表取締役社長
中央大学客員教授(国際公認投資アナリスト)

三菱UFJ信託銀行で年金・資産運用の実務に長年従事。 「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」などの普及にも携わり、成人の4人に1人がNISA口座を持つ時代をつくった第一人者の一人。

2025年、シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズを設立。

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