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ファミリーオフィス未来通信|資産はどう取り崩すべきか

資産はどう取り崩すべきか

――トービンの分離定理から考える、シンプルな方法
これまで資産形成について考えてきた方にとって、次の関心事は「どう取り崩すか」ではないでしょうか。
実は、多くの日本人にとって、資産形成よりも難しいのが、このり崩しです。
その考え方を整理するうえで参考になるのが、トービンの分離定理と呼ばれる理論です。

トービンの分離定理とは何か

トービンの分離定理を簡単に言えば、どのリスク資産に投資するか」と「どれだけリスクを取るか」は、分けて考えられるという考え方です。
まず、長期的な成長が期待できるグローバルに分散投資された株式ポートフォリオを一つ用意します。
これは特定の国や企業に偏らず、世界全体の経済成長を取り込むことを目的としたものです。
次に、その株式ポートフォリオに対して、現金・預金・日本国債といった安全性資産をどの割合で組み合わせるかを考えます。
この2つを組み合わせることで、それぞれの人の年齢やライフステージ、リスク許容度に合った資産配分ができあがります。

株式は「育てる資産」、安全性資産は「使うための土台」

この考え方に立つと、役割は明確です。

グローバルに分散された株式ポートフォリオ
 → 長期的な成長を担う「育てる資産」

現金・預金・日本国債
 → 生活を支え、必要なときに使うための「安全性資産」

資産運用で重要なのは、どの商品を選ぶか以上に、この2つをどういう比率で持ち、どう変化させていくかです。

日本人は「増やすのは得意、減らすのが苦手」

多くの日本人にとって、退職時の金融資産は、人生で最も残高が大きいタイミングになります。
しかし、その後も資産がなかなか減らず、結果として「使うつもりだったお金が使われないまま残る」というケースは少なくありません。
つまり、日本人にとっての本当の課題は、どう増やすかよりも、どう減らしていくかなのです。

シンプルな取り崩しの目安

――「100−年齢」という考え方
そこで一つの目安として考えられるのが、株式などのリスク資産の割合を「100−年齢」程度にしていくという方法です。

例えば、

・65歳 → 株式比率はおおむね35%
・70歳 → おおむね30%
・75歳 → おおむね25%

という具合です。

これは厳密に守るルールではなく、方向性を示す目安にすぎません
数年に一度、年齢や生活状況を確認しながら、株式の比率を少しずつ下げていく。
それだけでも十分です。

相場が大きく下がった年は、無理に売らない

取り崩しで不安になるのが、相場が大きく下落した年に、株式を売ってよいのかという点です。
この点で重要なのは、必ずしも毎年、株式を売る必要はないということです。

現金・預金・日本国債といった安全性資産をあらかじめ一定額持っていれば、

・相場が好調な年は、株式を取り崩す
・相場が大きく下がった年は、安全性資産から生活費をまかなう

といった柔軟な対応が可能になります。

目安としては、生活費の数年分(3〜5年分)を安全性資産で確保しておくと、心理的にも落ち着いて判断しやすくなります。

取り崩しは「失敗」ではない

株式を取り崩すことを、「守りに入った」「運用に失敗した」と感じる方もいます。
しかし、取り崩しは失敗ではありません。
使うために準備してきた資産を、計画どおり使っているだけです。
資産運用には、増やす時期があり、使う時期があり、そして穏やかに減らしていく時期があります。
取り崩しは、資産運用の終わりではなく、人生を楽しむフェーズへの自然な移行だと言えるでしょう。

まとめ

・成長部分は、グローバルに分散された株式ポートフォリオで担う
・使う部分は、現金・預金・日本国債で支える
・年齢とともに、株式比率をゆるやかに下げていく
・相場が悪い年は、無理に売らなくていい

このように考えると、取り崩しは決して難しいものではありません。
資産運用は、「増やすため」だけでなく、人生をよりよく生きるための手段です。
その視点で、ぜひ一度、ご自身の取り崩し方を考えてみてください。


【執筆者紹介】

代田 秀雄(しろた ひでお)

辻・本郷 ファミリーオフィス株式会社 特別顧問
シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズ代表取締役社長
中央大学客員教授(国際公認投資アナリスト)

三菱UFJ信託銀行で年金・資産運用の実務に長年従事。 「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)」などの普及にも携わり、成人の4人に1人がNISA口座を持つ時代をつくった第一人者の一人。

2025年、シロタ・ウェルス・アンド・ウェルビーイング・アドバイザーズを設立。

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